第7章 トラ男とパン女の攻防戦
一本の指をすべて飲み込んだムギは、ハードルが高いミッションを終え、早くそれが抜け出るのを待った。
お腹の奥ではあいかわらず正体不明の疼きがムギを苦しめて、指さえ抜けてしまえば、その疼きも同時に消えるのだと信じていた。
少しの間、ムギの中でじっと動きを止めていた指は、しばらくしてムギの願いどおりぬるりと引き抜かれていく。
予想外だったのは、ローの指が抜け出る感触。
異物が去ってすっきりするものなのかと思っていたら、その逆だった。
粘膜を擦りながら移動する指はムギにさらなる疼きを与え、堪えきれずに甲高い声を上げる。
「あッ、あぁ……!」
腰がびくりと跳ね、生温かい蜜がどろりと漏れる。
動かさないでほしい。
だけど、動かしてほしい。
相反する欲求が昂ぶり、自分でもどうしたらいいのかわからない。
答えを見つけ出せないムギの代わりに、足りないものはローが埋めてくれた。
すなわち、引きずり出した指を再び、蜜壺の中へ突き入れたのだ。
「んぁッ、あくぅ……ッ」
完全なる、不意打ち。
ぐちゅりと沈んだ指先が、僅かに曲がって内部を探る。
胎内を押されるような感覚に、ムギはまさしく悲鳴を上げた。
「やッ、やだぁ……! ひ、んあぁ……ッ」
得体の知れないなにかが、ムギを狙っている。
逃れられないほどの波を目の前にしたら、拒否の言葉しか口を出ない。
だけど、ムギの声には確実な甘さが含まれていて、眉を寄せたローは一瞬動きを止めつつも、決してやめてはくれなかった。
突き入れた指をまた抜いて、そしてまた中へと入れる。
溢れる蜜は指の動きを潤滑にする役目をしっかりと担い、動かすたびにぐちゃぬちゃと卑猥な音が鳴り響く。
「ふぁ……ッ、あ、やめ……! やめ、くれるって、言った……!」
約束は守ると言っておきながらあっさりと反故にするローを詰ったが、彼は人聞きが悪いとばかりに言い返す。
「……ッ、ふ…ぅ……。約束は……、守ってるだろうが。痛ければ、やめる。そう言った…だけだ……。」
ムギからすれば屁理屈と同等な主張をするローの声は、これ以上ないくらいに荒れている。
そんなに苦しそうにするのなら、こんな行為は早くやめてしまえばいいのに。