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緑間のバスケ【黒子のバスケ】

第41章 オマエの隣にだって





「『ジャンケン・・・、』」


ポンっ!!



「だよな〜、どうせオレなんだよなぁ。」



誰が自転車を漕ぐか、いつも通りジャンケンをするが、これまたいつも通り負けたのは高尾だった。



『ファイト〜!』


「今日こそは、絶対にオマエらに漕がせるからな。」


「バカなことを言うな。オレは負けないのだよ。」



ブツブツと文句を並べながらも、結局高尾は毎回負けを受け入れて自転車に跨る。そのときだった。すっかり自分がカバンを持っていないことに気がついた。



『ごめん、カバン忘れた!』


「はぁ?どこに?」


『控え室。ちょっと取ってくる、』



真ちゃんに一人で行くなと怒られるよりも先に走り出した私は、途中で歩くこともなく控え室まで一心不乱に走った。案の定私のカバンはロッカーの中に置いたままであった。


急いでカバンを手に取り、来た道を引き返そうとしたが、隣にある誠凛の控え室から怒号のような声が聞こえてきて、思わず立ちすくむ。


その声に聞き覚えがあったのだ。
いつも優しくて温厚な鉄平さんの怒号を初めて聞いた私は、それに背を向けて帰ることなどできやしなかった。


耳をすませば、話をしている相手はどうやら誠凛のキャプテンのようだった。


暫く話を聞いていたが、先に控え室から出てきたのは誠凛のキャプテンだった。バレないよう物陰に隠れ、彼の姿が見えなくなったころ、そーっと控え室を覗き込んだ。



『・・・鉄平さん、』



なんの気なしに声を掛けてしまったが、その後少し後悔した。いつも優しい鉄平さんの目には、怒りと悔しさから滲みでる涙が光っていたのだ。




「なんだ、花子か。まだ帰ってなかったのか?」



鉄平さんはその涙を隠すかのように私に背を向け、いつも通りを演じていた。それでもいつもより一回りも二回りも小さく見えた背中にどう声をかけたら良いのか正直分からなかった。だから黙っていた私に不信を抱いた鉄平さんは立て続けに質問を重ねる。



「緑間はどうしたんだ?」


『・・・っ、』



それでも何も答えない私に、漸く振り向いた鉄平さんはぎこちなく笑った。




「花子、まさかとは思うが日向との話、聞いていたのか?」



その問いにコクリと頷けばその大男は参ったなと言わんばかりにため息を吐いた。


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