第3章 最初のお仕事
演練に参加すると決めてからは瞬く間に日が流れ、明日はいよいよ本番という夜を迎えた。
部隊分けは長谷部さんと、それからこんのすけと考えて決めた。
私が演練に着ていく衣装も、歌仙さんがピシッと糊付けまでしてくれて揃えてくれた。
それを眺めながら、審神者が演練に着ていく物がまさかこういった物だとは思わなかったなと、息を吐く。
そこにあるのは、生前の私が稽古の時に着ていた道着と同じ色で、上衣が白で袴が濃紺・・・といった、これといって華やかさの欠片もない、ごく普通な感じの物だった。
もっと派手な装飾があるのかと思ったら、意外だったな・・・
こんのすけに聞くところによれば、着任1年目の審神者は皆同じ色の組み合わせで、経験を積んで階級を上げて行くと上衣や袴の色が変わる仕組みになっているとか。
これで髪を纏めたら、まるで私が稽古するのと全く変わらない格好だよ。
おじいちゃんに私が男だったら良かったと言われ続けた事に対して、長く伸ばした髪を何気なく掻き上げて、明日は緩く三つ編みにでもして邪魔にならないようにしておこうかと髪を片側に寄せて明日の自分の姿をイメージして、ふと気付く。
そう言えば歌仙さんが、足袋は夜にでも届けるからって言ってたけど、まだ届いてないよね?
取りに行った方がいいのかな?なんて思った所に、階段を上がってくる足音が聞こえて部屋の前でそれが止まった。
加「主~、ちょっといい?」
・・・加州さん?
どうぞ?と返事をすれば、スルスルと襖が開いて加州さんと歌仙さんの姿が現れる。
歌「遅くなりましたが、足袋をお持ちしました」
加「あとこれ。ちょっと刺繍に時間がかかっちゃってさ?」
それぞれが差し出す物を見れば、歌仙さんの手の中にある足袋と、それから加州さんが差し出している物に桜の花の刺繍が施されていて。
『可愛い・・・これをお2人が?』
加「みんなで少しずつ刺繍してたからさ、こんな時間になっちゃった。あ、ちなみにこれは主が髪を結い上げたら結ぶやつね。初めての演練同行だから、可愛くしたいでしょ?」
ひらひらと加州さんが揺らすのは、薄い緑色の生地のあちこちに桜の花が刺繍されている手作りのリボンだった。
歌「加州がただの足袋では可愛くないと言って、どうせならみんなで少しずつ刺繍を施そうと部屋を回っては教えてたんです」
