第9章 現世編(後編)
「言ったでしょう、今。助けに来ましたよーーん♪って。周りの虚はあたしらが引き受けますよ。黒崎サン貴方が、あいつとの戦いに専念出来るようにね。ほら、無駄口を利いてる暇なんてない。」
浦原の指さした方向には大虚が居た。それは、無理矢理空を引き裂きその全容を少しずつ顕にしていく。ゆうりも虚を倒す手を止め天を仰いだ。
「!……で……出てくるぞ…!!」
「…でかい…なんてでたらめな大きさだ…!」
「へへ…あんだけデカいと逆に笑えてくるな…ホントに虚かどうかも疑わしいぜ…。」
大虚の姿が殆ど見え始めた途端、空に居た虚達がまるでソレを王と崇めるように両腕を上げて吼えた。大虚の口がゆっくりと開く。そして次の瞬間、突如飛び出た舌が複数の虚を串刺し、リールを巻き上げる勢いで口元へ戻っていく。貫かれた虚はそのまま大虚に喰われ、咀嚼する度肉を潰す音と硬い骨を砕く音が辺りに響いた。
「!!!」
「…ッわ…っ」
「本当に共喰いする、なんて……。」
攻撃をして来るよりも先に仲間を喰らう化け物に一護、石田、ゆうり、そして丁度この場へ到着したルキアまでもが絶句する。教科書に書いてあったとはいうものの、実際目の当たりにするとその凄惨さは文字では語り切れない事が良くわかる。
「な…仲間の虚を…喰ってる…なんて奴だ…!あんな奴とどうやって戦えば……」
「…へへ…」
「…何が可笑しい?黒崎。」
「あんなバケモノ相手に戦い方なんて考えたってしょうがねぇだろ…」
「何…?」
「あんな奴は……斬って斬って斬って斬って力の限り斬り倒す!!!それ以外に無ぇッ!!行くぜ石田ァ!!」
「ま…ままま待て黒崎ッ!!」
「一護ッ!?よ…止せ一護!貴様の戦える相手では…」
斬魄刀を掲げ、大虚に向かい駆け出す一護に石田は頬に汗を流し止めるが彼の耳には届かない。ルキアも同様に声を上げ、彼の元へ向かおうとしたが彼女の目の前を浦原が立ちはだかった。
「浦原…!貴様…どういうつもりだ!?一護を殺す気か!?」
「まさか。」
「ならば退けっ!止めねば…一護に勝てる相手ではない!!」
「そりゃダメだ。できないんスよ朽木さん。大人しく見てて下さい。」