ヤマネコ-ノ-ツガイ【アッシュ】BANANAFISH
第14章 消えない傷
《アスランside》
僕はきみを汚したくないって言ったばかりじゃないか
どうして僕と同じになりたいだなんて、私を汚してだなんて…そんなに真っ直ぐな曇りのない瞳で言うんだよ…
でも…、
最後だと言った瞬間の本気でショックを受けたような瞳も…大きな目にじわじわと波のように迫り上がってくる涙も、嗚咽を堪えるように震わせている結ばれた唇も…
彼女の全てが信じられないほどに愛おしくて胸がグッと締め付けられた。もう触れるのは最後だと決めたのに…
『……アスラン?』
そう言って僕を見上げたユウコの表情は、いつもキスをする直前に見せるものだった。
ほんとばかだな…僕は。
ユウコ、
きみは何も悪くない
耳を塞いで、ユウコから音を奪う
「《ユウコ、ごめんね
…ずっと、大好きだったよ》」
『……な、に?』
僕って臆病だ
とても伝えられない…
ユウコがどんな表情をするのか怖い。
でも言わずにはいられなかった。
この唇が僕だけのものになればいいのに…
僕は、角度を変えて何度も何度もユウコの唇を甘噛みする。好きだ…とその唇に伝えるように。
きみまで汚してごめん…ユウコを傷つけるとわかっているのに想いを止められない。どうしても触れたいと願ってしまう。
嫌いになれたら、
本当に突き放してしまえたら…
頭の中でごめんね、許してと繰り返していた。
『…ッ………んっ、う』
「………っふ……」
すると、ユウコの舌が控えめに僕の唇をノックした。その舌は緊張したように震えている。
『……っ、』
その舌先に僕のが触れると、ユウコは肩をピクッとさせた。至近距離にあるユウコの目を見ると、またボロボロと涙が溢れていた。唇を離し、額を合わせる。
…泣いてるの?
「…っは…ぁ……どうして、…」
『…ぅ…ア、スラン…っ…』
僕は涙が流れる頬と目尻にキスをした。
そして両手で頬を挟んで目を見つめる。