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「残し置く」「瀬をはやみ」「誰に見せ」

第1章 思い出


それから、どれくらい経った頃だったか。
私も少し大きくなって、銀おじちゃんがしようとしていた事がおぼろ気に分かりかけてた時だった。
あれは、紅葉がすっかり散る少し前のある日、茸狩りをしていたら、山道をこっちへ向かって歩いてくる人に気づいた。
秋の陽に、銀髪が光ったのを見て駆け出した。
「銀おじちゃん!」
そう叫んだら、笑って手を振ってくれた。
その日はあの時みたいな僧衣でも旅装束でもなくて、ジャージみたいな着物みたいな格好していたわ。
銀おじちゃんはね、一人じゃなかったの。
駆け寄った私を見て、
「銀おじちゃんかよ。良い名前付けてもらったじゃねーか」
そう言ったのは、銀おじちゃんより少し小柄で、女物みたいな蝶柄の着物姿で、左目に包帯を巻いていて、煙管を吹かした人。
「…高杉さん?」
って、思わず呼び掛けたら、その人は口元に笑みを浮かべて
「そうだ」
って答えてくれた。
私とっても嬉しくて、銀おじちゃんに抱きついたわ。
「仲直りしたんだね!良かったね!」
ってね。
そしたら銀おじちゃんの後ろから、
「おー金時、熱烈な歓迎を受けとるのぉ」
って大声がした。
かと思ったら、
「こりゃー良い所ですねぃ。人家もまばらで、土方のヤローを埋めるのにはもってこいですぜぃ。そう思いやせんか?土方さん」
「なんでお前はそれを俺に聞くんだよ!」
「きれいな景色だなぁ。お妙さんと来たかったなぁ」
「僕はたまさんと…」
「よーし定春、かけっこネ!ここなら走り回って良いアルヨ」
「ちょっ、神楽ちゃん、急に走ったら危ないよ」
「エリザベス、定春君と競争だ!」
って、それはもう賑やかに、続々と人や大きな犬やペンギンみたいな生き物が歩いて来たわ。
目を丸くする私に、銀おじちゃんは頭をかきながら、
「景色が良い所だって言ったら、何か皆来ちまった」
って、とっても楽しそうな苦笑いを浮かべてたわ。
大きな、大きな事を一緒に乗り越えた人達だったんでしょうね。
その日は賑やかな宴会になって、忙しかったけど、楽しかった。
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