第10章 アザレアのひととき
『中也さん、あのね』
「なんだリア〜、抱っこされに来たのか〜??♡」
『あの…お盆休みにどこか……一緒に、行きませんか』
「宇宙旅行くらいまでなら連れてってやれるぞ」
いや、スケールでかいな。
束の間の休日を満喫すべく、朝からしばらくピロートークをしながら甘えきっていた私が悪いのだろうか。
日を跨ぐごとに色んな感性がバグっていってるのよねこの人。
『えっとね、リア中也さんのおかげでお金ちょっと余裕あるから』
「それはお前の小遣いだから持っときゃいいんだよ、何のための上司で幹部な旦那だと思ってんだ」
『いやでも、流石に全額は申し訳な「リア」…………甘やかしすぎじゃない?』
「普通の家庭レベルだろ、知らんけど」
『そうかなぁ…』
太宰さんに相談してみると、私でもそうするよ、と真面目な文面での返信が届く。
『PS.なんなら治ママと一緒に旅行に行っちゃわない?♡』
「焼き討ちに行くぞ」
『えへへ、ママだって』
「あいつが用済みになったら俺がパパでもママでも何にでもなってやるからな」
『……なんか無理してないです?最近前にも増して優しいっていうか…わ、私に何か気遣ってない?』
「そりゃあリアが相手だしなあ…これくらいで普通だろ」
普通ってなんでしたっけ、普通って。
「んで、どこに旅行行きてえの?」
『…えっと、夏祭りってところ』
「あ?……リアちゃん、もっかい言ってみ???」
『馬鹿にしてます?夏祭りってとこ』
「まったく、うちの子は世界一可愛いなあおい」
なんかそのノリむかつく、と睨みつけるも効果はない。
それどころかデレデレされて余計に腹立たしさが増すばかりだ。
「…リア、夏祭りはイベントの名前だ。旅行しなくてもそこら辺で毎年開催してるから、それに一緒に行きゃあいい」
『えっ?…いや、でも夏祭りは危険がいっぱいで誘拐されて危ないからあんなところに一人で行っちゃダメって治さんが』
「なんだ、あいつついて行かなかったのかよ?つか治さんて」
『学校の男の子達に誘われたってお話したら教えてくれたの』
「そりゃ危険だわな、よくやった青鯖」
『デートって言われたんだけど一対四だって相手が考えてたの読んじゃって…そしたら次の日からその子学校来なくなっちゃったの。治さん怖いねえ』
「バレバレじゃねえかあいつ」
