第10章 アザレアのひととき
ひょい、と簡単に持ち上げられる膝の上の子狐ちゃん。
気付いたところであ゛?と彼女に手を伸ばし、対抗する。
「離してくれない?君さっきまでリアといたんだよねえ??」
「当たり前だろ、てめぇがいようがいまいがリアはこっちにいるんだよ」
『……肩痛い』
言われて即座に揃って手を離し、その隙を狙って奪い返せば見事に再びお膝の上に着地なされるリアちゃん様。
と、ようやっと諸々の現状を気にし始めたらしいアホのトウェイン。
「…あれ、この部屋はいったい?」
『せーの!!』
リアの掛け声と共にクラッカーを構え、一斉に紐を引く。
軽快な音と共に更にポカンとした顔をするトウェインはといえば。
「…なにこれ?」
『歓迎会』
「僕の?」
「マー君いいリアクションするね〜♪美味しいご飯もいっぱいあるし、みんなで食べよーよ☆」
「おおお、歓迎会…こういうのは久しぶりだね。ありがとう皆」
リアもありがとうね、と撫でるそいつにふん、と顔を横に逸らすけれど、満更でもなさそうに耳や尻尾が可愛らしく揺れていらっしゃる。
まあ今回くらいは見逃してやるが。
「僕もリアにお土産買ってきたんだよ、チョコレート食べる?」
『もらってあげなくもない』
「ビターにしてきたからね、はい」
『……見て中也さぁん、もらった〜♡』
「お礼は?」
『ありがとマークくん』
余程恥ずかしいらしく、俺の方を向いたまま照れているのを隠しているらしい。
ほお〜?ほんっとこういうのに弱いのなこいつは…いや、俺が最近プレゼントとかする頻度が減ってるだけか?
『中也さんはもうちょっと自重してね』
「すまない、ちょっとよく意味が分からねぇな」
『…?でも、なんでチョコ??』
「リアが好きなところ見つけたから、連勝君に寄らせてもらったの」
『そ、それだけで???』
「うん、それだけ」
にや、と俺に向けて意地の悪そうな笑みを向けてきやがるトウェインに、ぴき、と青筋が立った気がする。
分かりやすく煽ってんじゃねえよ、俺よりリアに詳しいですってか。
『…♡』
「お、お前チョコ好きだったのかよ」
『んえ?うん、このチョコレート好きぃ♡』
「いつも別のとこのやつ食ってなかったか…?」
『うん?中也さんが好きなのかと思って』
「いい子すぎるんだよなあ?????」
…執務室に置いとくか。
