第51章 真実を
「二人の時は、零さん・・・て、呼んで良いですか?」
別に透さんでも構わないのだけど。
少しでも本当の彼を・・・感じてみたくて。
「・・・ダメです」
てっきり許可を貰えると思っていたから。
やはりそこは踏み込んではいけないエリアだったかと、不安の眼差しを彼に向けた。
「零、の方がいいですね」
ニコっと笑いながら言った彼の言葉に、少し唖然としてしまって。
一瞬感じてしまった要らない不安に、思わず小さく笑いが漏れた。
「・・・零?」
小首を傾げながら彼の名前を呼ぶと、少し驚いた表情を見せた後、何故か両手で顔を覆ってしまった。
「と、透さん・・・?」
焦って思わず違う名前を呼び直してしまって。
何があったのかとあたふたしていると、覆っていた手を離し、片手の甲で顔を隠しながら見えた真っ赤な彼の顔に心臓がドキッと音を立てた。
「すみません・・・思った以上の破壊力で」
そんな彼を見たことが無かったから。
率直な気持ちはとにかく嬉しくて。
まだ私の知らない彼を・・・本当の彼をきちんと見られているようで。
安堵の笑顔を小さく浮かべ、これから少しずつ、彼を知っていけたら・・・そう思った。
「・・・一つ、意地悪な質問をしてもいいです?」
「?」
浮かべた笑顔を消してそう尋ねた。
本当は聞かずにそのままでも良かったのだけれど。
自分の中にある彼への疑問は、なるべく消し去っておきたかったから。
チラッと向けられた視線を確認すると、思い口をゆっくり動かした。
「透さん・・・バーボンが私を殺そうとした時、本当はどうするつもりだったんですか・・・?」
あの時はたまたまコナンくんと昴さんが助けに来てくれたから。
まさかあれが無ければ・・・私は本当に。
「きちんと貴女を助ける策は、用意してありましたよ」
視線を外し、遠くを見つめるように話す彼の横顔は、どこか悲しげに見えた。
それを見て、如何に自分の言葉達が無責任だったかを思い知らされた気がした。