第23章 戦闘と平和の狭間
猿飛さまは
ソファから立ち上がる。
「花奏よ、目に見えるものだけで、判断してはならんぞ。サスケはお前を頼りにしておる。アイツは里の宝じゃ。うちは一族を背負う。そう言わずに、ちゃんと見てやれ。よいな」
静かに言うと息を吐いた。木製の長机に座り直し、山盛りの巻物から1本取り出すと、私へ伸ばすのだ。
「…猿飛さま?」
巻物には極秘任務調査報告書と筆の文字。達筆だが、綺麗で形のバランスが良い字に、私は目を見開く。
見覚えある美しい文字だった。
暗部入隊時、少年に記入する場所を教えた。ここだよ、と指をさして教えた。
文字を走らせる姿を横に座って見ていた。暗部報告書の書き方も私が伝えた。
私が指導する立場だからだ。
イタチを。
極秘任務調査報告書。
最終と付け加えられていた。
「3代目、あの、出動命令をと、言ったのですが…」
私は狼狽した。
猿飛さまは真っ直ぐに私を見つめ返した。
「お前が雪ノ里へ行けば、戻らぬかも知れぬ。イタチはお前には真実を伝えて欲しいと言ったんじゃが…ワシが止めておった。普段の任務に、迷いが出てはならぬと思った」
深くキセルを吸う。巻物を持つまま、白苦い空気を口から吐いた。受け取ったとき、言葉を繋いだ。
「決して、だれにも言うてはならん。花奏の好いとるカカシもじゃ。わかったな。それがイタチとの約束なのじゃ……」
猿飛さまは、私が「はい」と応え巻物を受け取ると、
静かに口を結んだ。