第26章 兵長のおまじない
ハンジ分隊長はいつだって全力投球だけど、あの時は特に熱がこもっていたと思う。
自分が痛い訳でもないのに、泣き叫びながらソニーとビーンの身体を串刺していた。
あまりにも分隊長が叫ぶものだから、見かねた副長が声をかけると、分隊長はさらに声を上げたのだった。
「これが叫ばずにいられるかモブリット!!ビーンがこんなに痛がっているんだぞ!?」
分隊長の涙は、まさに本気のもので、真剣さがビリビリと伝わってくるようだった。多分、多くの兵士にとっては狂気を感じさせる行動だったろう。
だけどそこまで巨人研究に本気になれる分隊長に、私は感動した。その熱意を、改めて心の底から尊敬したのだった。
ちなみに、捕らえられた巨人にはハンジ分隊長によって名前が与えられていた。4m級がソニーで、7m級がビーンだ。
その後もヘルゲとミアに何枚かの絵を見せて、その時の様子を解説したのだった。
「…やっぱり、ラウラさんは絵を描いている時が一番楽しそうですね」
クスクスとミアが笑い始めたので、私は気付かない間に夢中になって二人に語ってしまっていたことに気がついた。
「あっ、ごめんね。私ばっかり話しちゃって…」
「何言ってんですか!俺たち、それが聞きたくて来たんですよ!ラウラさんの話が聞きたいから」
「…ありがとう」
私は照れくさくなって、思わず下を向いてしまった。
たった2歳しか違わないけれど、まだ幼さの残る顔をした二人が、その大きな瞳をキラキラとさせて見つめてくると、眩しくて時々直視できなくなる。若いっていいなぁ…。