第2章 砂漠の月71~150
連れてってくれればよかったのに、と言外で拗ねられ若干考えるそぶりを見せた晴久は開き直ったのか苦笑して月子を撫でた後ぎゅっと抱きしめる。
首筋に顔をすり寄せても月子は逃げることもせず、恐る恐るだが背に手が回ってほぅっと息を吐いた。柔らかな熱に晴久も緊張していた身体から力を抜くと顔をあげ、説明の続きを口にする。
「もうすぐホワイトデーだろ? で、お返し探しに行ってた」
「兄さんも?」
「おう、元就は買うもん決めてて、俺はちょっと迷ってたから一緒に行って色々見てたんだ」
「……そっか」
「あ、市には内緒な? 元就は多分、内緒にしときたいだろうから」
「うん。晴久さんは、良かったの? 私のせいだけど……」
「まぁ……サプライズしたいのは俺の勝手で、月子が喜ぶならどっちでも良いからな」
申し訳なさそうな月子に、なんでもないことの様に笑って言った晴久は機嫌直ったか? と悪戯っ子の様な表情で問いかける。
瞬きをした月子はそんな晴久に苦笑を浮かべると、うん、と頷いてそのまま抱き着く。月子が胸元に擦り寄ると大きな手がゆっくりと頭を撫で、髪に指を通し梳いていくのが気持ち良く目を閉じる。
うっとりとしていると撫でる手が止まり、目を開けると今度は不満顔の晴久と目があった。
「で、なんで避けたんだよ。ヤキモチ焼いたのとは違うんだろ?」
「うっ……その、どういう顔して会ったら良いのか判らなくなっちゃって……」
朝から不機嫌な顔で会いたくないし、可愛くないとこ見せるの嫌だし、とぶつぶつと言う月子に晴久は僅かに目を瞠った後、破顔するとぎゅっと強く抱きすくめる。
突然のことで小さな悲鳴を上げながらも大人しく抱きすくめられた月子はわたわたしながら、晴久を見上てその笑顔に顔を紅くすると視線を彷徨わせる。
「ほんっと、月子は可愛いな」
「……可愛くないもん」
「可愛いよ。すげぇ可愛い」
可愛くて仕方がないという雰囲気で月子を抱きしめたまま撫でたりキスしたりしてくる晴久に、月子は頬を染めながらも柔らかい笑みを浮かべると擦り寄る。