第1章 幼少期
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「二人は市の家族だものね」
俺が仕える織田の姫君、お市様は草の俺達
忍を人と言い、家族と言い張る。
仕える前は同僚の忍、黒羽からある程度話には聞いてはいた
前世の記憶があり、この世の未来から産まれて来たと聞いた時は黒羽の頭を心配したものだが。
信長公の命で黒羽と同じく、お市様に仕える事になり
俺の心境は少々複雑だった。
生まれつき色の無い髪、血の様に紅い目は里でも鬼子だの物の怪の子だと卑下され
氷の婆娑羅に目覚めてからも化け物を見る様な、境遇も変わらなかった。
その間に俺の心、感情までも氷になったのだと自負していた。
織田に仕えてから、黒羽と信長公は俺の姿を見ても里の奴等とは違う
所謂"普通"に接してくれ、この身は織田に捧げると決めた矢先でのお市様の護衛の命。
あの信長公の妹君だが、正直恐ろしかった
姫様は我が身を見て、卑下した目で見るだろうか
化け物と言うだろうか。
その不安とは裏腹に、お市様との対面は驚いた
卑下も差別もしない純粋な瞳で、ふんわりと微笑んだ姫様。
年齢に似つかわしくなく博識で黒羽の話も本当なのだと判り
俺もお市様を受け入れる事にした。
この1月近く共に旅をして、思いがけず俺の過去を知られたがすんなり受け入れ
里を滅ぼさん勢いで怒ったお市様。
その時に俺は本気で心から彼女に忠誠を誓った
心優しく、誰にでも等しい仕える美しい主
お転婆で抜けてる所もあるが、この方に仕えられて本当に幸せだと
柄にもなく、思ったんだ。