第1章 前編 時の彼女と死の外科医
ユーリが目を覚ますと既に朝日が昇っており、ローの姿は見えなかった。
痛む体を無理やり起こすと、床に散らばってる服を身に着け、逃げるようにホテルを後にした。
今はローと鉢合わせたくなかったので、この場にいなくて助かった。
そういえばローの心臓が気になったが、見当たらなかったので無事に彼の身体に戻ったと思うことにした。
それからユーリはぼんやりとしながら街を歩いていた。
これからの行動はだいたい決まってきたが、本当にそれでいいのかユーリも分からなかった。
痛む心にユーリは泣きそうになったが、ローも同じくらい傷つけてしまったので、ユーリには泣く資格はないと耐えていた。
本当は大声をあげて泣いて、ローに助けを求めたかったが、そんなことをすれば優しい彼はこの先死ぬまでユーリに捕らわれてしまう。
下手をすればローは死を選ぶかもしれない。
そう考えると、彼に助けを求めることはできなかった。
大好きだったコラソンの死で13年も捕らわれていた彼は、愛するユーリが死ぬものならどうなるか、何となく察してしまった。
だからユーリは、ローに嫌われる道を選んだ。
嫌われた状態で生贄になれば、誰も悲しむ者はいない。
それにローの病のこともあるので、躊躇するわけにはいかなかった。
昨日のやりとりでユーリを嫌いになれるほど、ローの気持ちが軽いものとは思ってないが、やれることはやるしかない。