<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第97章 哀しみのりんご ― 姫&三成 ―
「舞様は、すっかり家康様の御殿になじんでいらっしゃるのですね」
「え?うん、もうお城からうつって日数経つし、ね」
三成くんは少し声を低くして私に言う。
「何だか私は寂しいです。舞様が、家康様だけのものになってしまったのかと思いますと」
「え…そんな事、ないよ?」
「しかし…そのうち、家康様のお城が完成されたら、駿河にお移りになりますよね?」
「あ…うん、それは、そうかもしれないね…」
家康は今、ようやく自分のものに戻った地に、築城し始めているの。
突然、私は三成くんに手首を掴まれ木にからだを押し付けられた。
「三成くん…」
私が驚いて声を上げると、三成くんは紫の瞳を真剣な色に染めて言う。
「舞様、行かないでください。安土にずっと居てください」
「三成くん…」
「舞様が居なくなってしまう事を考えると、私は何も手につかなくなるのです」
三成くんの顔が私に近付き、首筋を三成くんの唇が這う。
「三成くん、駄目、だよ…」
「舞様、行かないでください…安土に居て、ください…」