<イケメン戦国ショートストーリー集>戦国の見える蒼穹
第89章 青い水の龍 ― 幸村&姫 ―
竜巻が一瞬に消え、消えた中から青い光を放つ龍が天へ駆け上る姿を見た。
冗談なんかじゃねぇ。
俺は舞の肩を抱き締め、舞は俺の着物の袖を強く掴んだまま、俺達はそこから目が離せなかった。
深く、青い、稲妻のような光。
ぎらぎらと、見た者が目が離せないような激しい光が一か所だけ空に広がり、そこへ水の竜巻が引き寄せられるように引き延ばされていったのだが、それがその光に触れそうな瞬間竜巻は消え、龍が現れ、その龍が光の中へ吸い込まれるように昇って行ったのだった。
「…見た…」
俺はぎゅうと舞を力を込めたまま抱き締め、舞もこくこくと頷いた。
青い水の龍は本当に存在した。
恋が成就しなかった、哀しみの龍の伝説は本当だったのか。
俺は龍の姿を何度も眼裏に思い出す。
俺達の前に龍が現れたのは、悲恋に終わった龍が俺達の恋をうらやんだのか、それは勿論俺にはわからない。
伝説ではなく、本当の龍の姿に、俺の脳は興奮冷めないらしい。
からだがうずき出し、自然と体温もあがってくるのがわかる。
このぶんだと、朝まで舞を離せず、愛するのかもしれないな、と思いながら二人で馬に乗り、また元の道を引き返して行く。
さて、一夜の宿で、俺達も伝説のように、舞が孕む事はあるのだろうか?
<終>