第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
『無理…だよ、だって私は…』
徹が好きなんだもん
…でも、徹は?
私じゃなくて今日
サクラちゃんと…
「及川はお前を置いて
出掛けたじゃん
元カノとさ」
私の気持ちを
言葉にされて
返事に困る私
どこかでまだ
なにかの間違いだと
思いたい気持ちがあるのに
「なぁ、そんな奴より
俺の良いって
俺は姫凪を
一人で泣かせたりしない
不安になんかさせねぇもん」
孝ちゃんは先回りして
私の期待を潰して行く
黙ってしまった私を見て
「ごめん。
言い過ぎた…泣かしたかったわけじゃ
無いんだ…ごめんな
もうこの話はしないから
機嫌直して?
とりあえず移動しよう
今日は飯もデザートも俺が奢る!
姫凪、誕生日近いしさ
プレゼント代わりだ、な!」
孝ちゃんが私を離して
背中を押し
さっきの真剣なトーンとは
かけ離れた
明るい声で前を歩いた
抵抗する力もなく
ただ少し後ろを歩く私に
孝ちゃんは間を作らない様に
話し掛けて来る