第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
毛布を巻き付けた
姫凪の目が揺れて
俺を不安げに見上げて
『もしかして…』
そこまで言って口ごもる
「なに?」
『なにも…ナイ。
うん、もう行こう…』
俺の手から服を奪い
立ち上がる
さっき激しくされたばかりな身体は
クラリと揺れて
床に引き寄せられそうになる
「危ない!
着替えならここで…」
間一髪で掴んだ腕が
『大丈夫、だから
離して!』
勢い良く弾かれる
「姫凪…」
『…汚れてるから
シャワー浴びてくる…』
一瞬合った目が逸らされ
ふらつく身体は
一人でバスルームへ向かう
嫌われたんだよね、これ。
まぁ、嫌われる様な事
したんだけどさ…
乱れたシーツ
その先には
散らばった靴や
姫凪のお気に入りだったカバンが
淫らな痕跡が散らばる中に
場違いに転がってる
シャワーの音が
まるで泣き声みたいで
俺の頬も涙が濡らす
恋人ではもう要られないのかな?
かと言って友達に戻れる気もしない