第3章 2 暖かな黒の中で
そのまま、少し一人で考えてみたい、と無理言って屋敷に庭園に来ていた。
春が過ぎて色取り取りの花が花壇を彩っているのをぼんやりと眺めながら歩いた。
ユフィーが、久々の外だったからか楽しそうに駆け回っている。
丁度良いベンチを見付けたので、そこへ腰掛けてぼんやりと空を眺めた。
どこまでも続いてるような青が、とても綺麗で、何だか胸がぎゅっと痛んだ。
「空の色…」
何だかとても遠く感じる。
私が腕も伸ばしても、届きそうにない空はとても綺麗だった。
ぼんやりと先程の話を思い出す。
私が天女で、国の保護対象で、詳しくは分からないが、何か特別な人間、らしい。
ざっくりと要約するとそんな感じ。
私が?まさかね。
そんな冗談あるわけがないと、気が付けば小さく笑っていた。
今までもどこかフワフワとしたお伽噺の中にでもいるような感覚だったが、何だか、もっと違う何かが胸の中にある。
「ハイデスさんが、私を好きだと言ってくれたのは……どういうこと、なんだろう。」
あの言葉が、本当だとか嘘だとか、そんなことは考えたくない。
だって、信じなければ嘘になってしまう。
どんな意味が含まれていたとしても、決して嘘ではないのだと信じたい。
言い出せなかったと言っていた、私を気遣っての事だとも言っていた。
でも、不思議だったんだ。
何でハイデスさんは私を好きになってくれたんだろう?
どこの誰かも知らない人間を、そんなにすぐに好きになるものなのだろうか、と。
だから、さっきの話を聞いて、あぁ、そういうことかと、何故か納得してしまった。
でもそれは、決して悪い意味ではなく、寧ろ安堵にも近かった。
私自身に、利用価値がある。
だから、側においてくれている。
私自身理解出来ていないが、特別な価値がある人間だから、興味があって好意に繋がる。
簡単な事じゃないか。そんなに、何もない人間を好きになんてきっとならないもの。
でもその事実が、何故か私を安心させた。
私にその価値がある限り、ハイデスさんは私を好きでいてくれるのかな、と。
元々、何も持っていない私に、利用価値があるのならば、私は喜んでそれを差し出すだろうから……それが何か分からなくても、価値としてくれるなら、それでいいと思ってしまった。