第3章 gleen
「…え、え!?」
携帯を耳にあてたまま
慌てて玄関の鍵を開けると
完全防備のきみが鼻を赤くして
ふへへ、と笑う。
「ちょっと!さ、寒そう!」
彼女の手を引いて部屋に招き入れた。
「あはは、寒かった」と笑った顔が
愛しくて、そのままきみを引き寄せた。
「…ずっと待ってたの?」
こんな寒い日に?
言ってくれたら迎えに行くのに。
抱き締めたベージュのダッフルコートが
とても冷たくて
きみの背中に回した腕の力が
ひとりでに強まった。
「…せっかく、
付き合って初めての迎える12月24日だし」
「明日、会いに行くって
「それじゃあ遅いの」
普段なら話終わるまで
聞いてくれるきみが
まだ言いかけの言葉を遮った。
「今日じゃないと、
意味がないの」
俺がきみにそうしたように
きみも俺の背中に回したその手に
ぎゅっと力を入れる。
「そうなの…?…どっちかっていうと
明日がX'mas本番じゃない?」
「違うよ」
と言ったきみが体を離して俺を見る。
眉を下げるように
優しく微笑んで
「お誕生日、おめでとう」
ああ、そうか
クリスマスイブ、じゃなくて
俺の誕生日。
「24日はX'masより大切な日でしょ?」
そう言って笑ったきみが
背中に隠した袋を差し出して。
「作った」と自慢げに言うもんだから
嬉しくて涙が出そうになって焦った。
こんなに涙腺弱くなっていたなんて
歳だな、と思いながら
2人で仲良く手作りの誕生日ケーキを
食べるんだ。
END.
「この馬…?のクッキー美味しいね!」
「…雅紀くん、
それは馬じゃなくてあなたです」
「え」