ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第5章 関係が変わる話
「あのさ、ヴィクトルこないだ貴方の家で会った女の人なんだけど」
この勇利と桜が出会った日、ヴィクトルは雑誌のインタビューで練習には来ておらず、弟子から入っていた着信に 掛け直せば、耳から流れてきたのはそんな言葉。
「ユウリあの子が気になるの?だめだよ、あの子は売女だからお前には似合わない、お前にはもっと誠実で素敵な女性が似合う。誰か紹介しようか?」
思わずヴィクトルの口から出てきたのは、また桜を貶める言葉だった。
ーーー違う、こんな事言いたくない。否定しないと。
しかし彼の心と裏腹に否定の言葉は出てこない。
ヴィクトルが自身の気持ちに混乱していると勇利は言葉を続けた。
「そういうのじゃないよ、最近も会ってるのかなって思っただけ」
「何故お前がそんなことを気にするんだ?」
何故弟子から彼女の話が出るのか分からず、男は苛付きからか冷たい声で訊ねた。
しかしその声も直ぐに別の感情を称えたものに変わる。
「この間たまたま姿見たからふと思ったんだよ」
勇利のその言葉がヴィクトルにとって暗闇に光が一筋入ったような僥倖であった為だ。
「どこで?どこにいたの?」
「え、どこってなんで?」
ヴィクトルはどうしても知りたかった。
彼女の家は知ってるけれど、避けられている理由も理解していたので訪ねる理由にも行かず、第一また怯えられたらと思うと下手に行動するのは躊躇われた。
だからせめて元気にしているか、姿を一目でいいから見たいと彼女の家の前を離れた場所から見ていたのに、タイミングが合わず、一度も彼女を見る事が出来ていなかった。
「俺からの連絡を無視するんだ。理由があって今は顔を会わせる事が出来ない。でも一目見たいと思ってる。ユウリ教えて、どこで見たんだ?」
縋るように弟子にそう言ったが、勇利からの返事はその疑問に答えるものではなく、さらにヴィクトルにとって辛いことを言ってきた。
「ヴィクトルが彼女に会いたいなんて意外だよ。見た事ない位に怒ってたし、彼女はよっぽどヴィクトルを怒らせる事をしたんでしょ?もう会ってないならその方がヴィクトルにとってもいいんじゃない?」
まさかそんなことを言われるとは思わず、閉口してしまった。