ヤンデレヴィクトル氏による幸せ身代わり計画【完結済】
第4章 関係が拗れる話
「距離って、どういうこと?まさかもう会わないなんて言わないよね?」
桜に近づこうとするヴィクトルに、彼女は「来ないで、そこで止まって」と震える声で伝えた。
その様子にヴィクトルは今すぐ駆け寄り問いただしたい気持ちを押さえ込んで、彼女の言葉に従い、その場に留まった。
「分かってたと思うけど、距離を取ろうっていうのはちょっと前から考えてた。
勝生選手の身代わりってちゃんと分かってるのに、分かってた筈なのに、あなたが体だけじゃなくて、ご飯とか、映画とか、メッセージだってまるで恋人にするみたいに優しくするから…私、どんどん自分の立場が分からなくなってきてた。
これ以上勘違いしたくないし、初めから叶わない恋をする気もない。
それが最近お誘いを避けてた理由。
今回の事で…私がお金で簡単に身体を売るただのコールガールだと思われていた事を知って、ショックだった」
「っ、聞こえてたのか?違うんだ、あれは弾みで出たというか、本当はそんな風に思ってないよ」
「嘘、だってsexした時淫売とか売女とか言ってたよね?普段から思ってたんでしょ?
確かにお金を貰って身代わりで抱かれる契約はした。
でもそれはあなたが言い出したことでしょう?
どうしてただの身代わりのコールガールに優しくしたの?
どうしてただのコールガールが他の男と話している姿を見て怒ったのよ?
好きな人が出来たら終わりって契約だったよね?
だったら終わり、私はあなたを…優しくしてくれたあなたを好きになってしまった。これで契約は終わり。だからもうこれで終わり、会うこともない!」
「俺を、好き?でも俺は…」
「勝生選手が好き、わざわざ言ってくれなくても知ってるから安心して、さようならヴィクトル・ニキフォロフ」
「そんな…桜…」
愕然と立ちすくんでいる男を放って桜は自らの持ち物を寝室に取りに入った。
ベッドの下に落ちていた服は破られていたため着る事は出来なかった。
カバンだけ持って、未だに同じ場所に立っているヴィクトルに桜はある程度の距離をとって話しかける。
「服、破れてて着れないから要らない服でいいから頂戴」
「え?あ、ああ、そうだね、破ってすまない。わかった」
服を取りに行ったヴィクトルを待つ間、マッカチンに触れているとやさぐれていた心が少しだけ癒された。