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もしもあのこと(ファイアーエムブレムif)

第1章 王子、恋を知る。


「起きろ」

どこかから声がする。
なんだか寒くて、空気がずっしりと重い。
なんちゅう嫌な夢だ。

「おい、死んだか?」

「今日は、土曜……だから……昼まで寝る……」

「……はぁ?」

朝の6時に起きて、家に帰るのは学校やバイトが終わってからの23時。

そんな毎日から解放される土曜日、日曜日は私の大きな安らぎの1日なんだから、休ませて欲しい。

ギィ、と重いドアを開くような音がした後、瞼に明るい光が突き刺さる。

唸りながら寝返りをうつと、ベッドのあまりの冷たさに飛び起きた。

「うわぁ!?」

慌てて周りを見渡すと、私が寝ていたのはベッドではなく石床の上だった。
どうりで固いわけだ。

「ふん……。起きたか」

暗い部屋の中で唯一ひかりを生み出している扉の前に立つ、男の人を見る。
まるで外国の騎士のような格好をしていた。

「あの、あなたは……あとここはどこなの?」

「俺の名はマークス。ここは暗夜王国の北の城塞にある、地下牢だ」

私は思わず首を傾げた。

マークス?暗夜?地下牢……全ての言葉に違和感を覚える。
知っているような、けれども知らないような。

「……あ」

いや、私は確かにこの男を知っていた。

3年ほど前に夢中になっていた、ファイアーエムブレムifというゲームの登場人物。
彼が暗夜の第一王子……マークス。

「マークス……」

「そうだ」

凍てつくような眼差しを受けても、私は恐怖を感じなかった。

それこそ、マークスは父のガロンとは違い無益な殺戮を好まないものの、怪しい者は無用に切り捨てるだろう。

彼が腰に下げた剣がいつ抜かれるとも分からないのに、私の頭はひどくぼんやりしていた。

むしろこんなイケメンの手で死ねるなら幸せなんじゃ……。

「お前に問いたいことがある」

「あっ、はい」

心なしか狭まった距離に、色んな意味でドキドキしながら返事をする。

「お前の名は?白夜の者か、それとも暗夜の者か。そして何者だ。なぜクラーケンシュタイン城の前で倒れていた」

あまりの質問攻めに戸惑いながらも、頭を働かせる。
私の名前は……

「……あれ?」

なんだっけ。

「兄さん。そんなに一度に聞いたら答えられないよ」
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