第44章 飴と鞭と甘い罰(石田三成/甘々)
「おい!いい加減諦めろ!誰も来やしねぇよ」
「んんっ…」
「感心しませんね」
「あぁ?」
振り向いた男が押さえ付けているのは、やはり迦羅様ー。
「その人をどうするつもりですか?」
「どうしようとあんたには関係ねぇ」
「困りますね、私の恋人を攫われては」
迦羅様に傷なんか付けてみなさい。
絶対に許しませんよ。
「こりゃいいや!あんたの女か!」
声を上げて笑う男の腕の中で
迦羅様の目に涙が浮かんでいるのがわかった。
「目的は何です?お金ですか?」
「それもあるが…俺はこの女が気に入った」
ニヤリと身の毛もよだつ笑みを見せて、男が迦羅様の頬に擦り寄る。
…汚らしい、迦羅様に何てことを…
「その手を離しなさい」
「断る」
「では、後悔させて差し上げましょう」
「何だと?」
「私を怒らせたことをですよ」
一瞬怯んだ男の顔に反物を投げ付けると、痛みに手を解いた隙に迦羅様が私の元へ駆けて来る。
すかさず身体の後ろに迦羅様を隠す。
「くそっ…馬鹿にしやがって!」
男が懐に手を突っ込んだ時ー
ヒュッと風を切る音。
「動くと、首がなくなりますよ?」
「ぐっっ!」
突き付けられた白刃に身動きの取れない男を、いつの間にか背後に回り込んだ織田の兵が取り押さえる。
「皆、どうして…」
「先程偶然会った政宗様にお願いしたのです」
「…そう…だったの」
「迦羅様?」
恐怖から解放されて力が抜けたのでしょう。
そのまま迦羅様は気を失ってしまいました。
「皆さん、後は頼みましたよ」
男を縛り上げる兵に声を掛けて
私は迦羅様を抱きかかえ、一足先に城へと踵を返した。