第5章 序章5
弥彦「母ちゃん、何を大げさな
しばしの別れだ、たいしたことではないさ」
かっこつけた口調で言いながらも
弥彦の足は小刻みに震えていた
私がなんとかしなきゃ・・・お世話になった恩を返さなきゃ
そんな事を考えている萩の横で秋は決意を固めていた
翌朝起きると秋は居なくなっていた
近くを探し走っていると秋が荷車に乗って街を出て行ったと聞かされた
萩「一人で抱え込むなんて・・・
こうなったらあの奉公のところへ行って
秋が向かった場所を突き止めないと!」
萩はいったん店に戻り弥彦から木刀を借りて急ぎ奉公の屋敷へと向かった
奉公「何!秋が糞ガキの変わりに行っただと!
なんてことだ・・・あいつさえ居なくなれば
秋と結婚できると思ったのに
このさいしょうがない萩、お主で手を打とう
拙者の妻になるというならば行き先を教えるでござるよ」
萩「手を打つ?私が貴方の妻になる?
いい加減にしなさい!貴方如きが私を妻に出来るとでも思ったの?」
奉公「な、なんだと」
萩は木刀片手に奉公を睨みつけた
萩「さっさと秋が向かった場所を教えなさい
それとも、私に八つ裂きにされたいのかしら?」
奉公「な、なにを言っている
女のお前が拙者に勝てるはず・・・」
奉公が言い終わる前に木刀を振り下ろす
バキッっと音を立てて奉公が立っている横の壁に穴を開ける
奉公「ひぃ・・・わ、わかった!教える
甲斐だ!武田信玄の躑躅ヶ崎館(つつじがさきやかた)だ」
萩「そう・・・いそがなくっちゃ」
奉公の屋敷を出ようとして振り返る
萩「店に小母様や弥彦に何かしたら・・・
今度は本当に八つ裂きにするわよ?」
奉公「わ、わかった、今後二度と手出しはしない!」
今度こそ奉公の屋敷を後にした