第94章 今を生きる
「そういえばさ、主が江戸に出陣させるの渋ってたのを、大倶利伽羅さんが説得したって聞いたんだぞ!本当か?」
何て説得したんだ?って聞くと、下から見ても解るくらい眉間に皺を寄せている。
「え、怒ったか?ごめんなんだぞ‥」
「…怒ってはいない。ただ、その話がどこから漏れたのかと思っただけだ。」
あいつには他言無用と約束させたからな、と言う大倶利伽羅さんが眉間を摘まみながら目を瞑る。
「んー?小狐丸さんと鶯丸さんから聞いたんだぞ?」
「はぁ、そうか。昨日の近侍か…」
あの狐、地獄耳か?野性故ってやつか?そう独り言を呟く大倶利伽羅さんが暫くしてから俺を見る。
「………信じろ、と言ったんだ。」