第38章 約束☆謙信
ん?何か寄越せ、は作れって事だよね。
作るのは全然構わないからいいけど…。
『剣?ですか?』
『そうだ。お前は持ってるだけで、まともに使えなかっただろう?』
そう言われて初めて出会った時を思い出す。
〜〜〜
『ならば多少なりとも刀を使えよう。俺と刀を交えろ。」
『あの…実は幼少の頃から体が弱く、激しい動きを制限されていたもので、刀には あまり親しみがありません。も、申し訳ありません。』
『ふん、佐助の知り合いだと言うから、少しは骨のある男かと思ったが、とんだ見当違いだったか。』
〜〜〜
あの話も覚えててくれたんだ、そう思うと嬉しくなる。
『今も体は弱いのか?』
あきらが ぶんぶんと首を振る。
『だろうな。でなければ あれ程 飛び退けまい。』
ククッ、と謙信が笑う。
そうですねー、とあきらも苦笑いする。
『でも私、あの時も言ったように、刀に親しみが無いもので…恥ずかしながら持ち方も良く解りません。』
と素直に告げる。
そこからか、と呆れながらも、謙信は持ち方を教えてくれる。
持ち方を しっかり覚えたら抜刀、抜刀が ある程度出来るようになったら構えと懇切丁寧に。
構えを教わる頃には、額から汗が流れ落ちていた。
お腹空いたなぁ。
そういえば昼餉も食べずに寝てしまい、今に至る。
城で食べるから、と政宗に言って出てきたんだった。
『あの、謙信さま、私は そろそろ戻らないと。』
『ん?そうか。ならば今日は ここまでにしておこう…。』
そう言うと、謙信が やおら自分の刀に手を掛け抜いた。
殺気を感じ、反射的にあきらも下ろしていた刀を構える。
ガキン!
辺りに金属音が響き渡る。
謙信さま!?突然 なにを…。
鍔迫り合いをするが、力で叶うわけも無い。
眼前に競り合う刀が近づき、至近距離で謙信が囁く。
『俺と戦えるまでに強くなれ。弱い男はつまらん。強くなったなら、ずっと俺の側に置いてやる。』
言い終わると、スッと力を緩められ、うわっと言いながらあきらはつんのめる。
謙信の刀に触れたのか、あきらの髪を結んでいた紐が プツッと小さな音を立てて切れた。