第33章 episode0
辿り着いた先は居酒屋。
あまりの急展開についていけず、席に案内されるまで呆然としていた。
こっちの都合もお構い無しに勝手に注文して、強引に酒を持たされて乾杯。
え、クロの友達なら未成年だろ。
それとも、先輩なのか、この男。
そうは見えないんだけど。
何か話をするでもなく、聞いてくるでもなく、目の前で酒を飲みながら料理を食べまくっている。
その姿を見ていると、少しだけ気が抜けた。
「落ち着いたか?」
「他人と何故か飯食う状態になってて、落ち着ける訳ないでしょ。」
「でも、さっきよりイイ顔してるぞ。」
やっと、会話らしい会話を始めた。
男は木兎光太郎と名乗った。
クロとは、高校時代からの知り合いで今は同じ大学に通っているんだそうだ。
やっぱ、未成年じゃないか。
こっちが飲ませた事になったら、罪を負うのは私だぞ。
まぁ、コイツもデカいし、未成年には見えないから良いか。
一人で考え事をする私を置いてきぼり気味に喋りまくる木兎。
口を挟んでも聞くタイプじゃなさそうだから、相槌を打ちながら話を聞いていた。
私の事は、クロと一緒にいるのを見た事があって知っていたらしい。
今にも自殺してしまいそうなくらいの、暗い顔をして歩いていたから心配になったと言ってた。
落ち込んでいるのは自覚してたけど、そんなに酷い顔をしてたのは予想外だった。
でも、普通なら無視するだろ。
なんで、わざわざ話しかけてきたのか分からない。
だけど、ついていけないくらいの急展開に、救われてしまったのも確かだった。