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逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第5章 翻然


「おっと。」

角を曲がると、人とぶつかる。

額と鼻を擦る女のコ。

「あれ?この前の」

「あっ。岡本さん!」

「よくぶつかるね?今日は大丈夫かな?」

「この前は申し訳ありませんでした。」

申し訳なさ気に眉を寄せて、ボクを見つめる瞳。

「いやいや。気にしないで。」

「それより、あの後痛みは出なかった?」

顔を覗き込めば、俯く。

「大丈夫ですよ。」

今度は困ったように微笑む。

「そうだ。この前は失礼な事言っちゃって、ごめんね。」

キョトンとした顔で、今度はボクの顔を見つめる。

「水澤日菜乃ちゃんってキミだったんだね?」

「名前は、よく耳にしてたけど。まさかキミだったなんて。」

「日菜乃ちゃん。ちゃんと覚えたよ。」

「ありがとうございます。」

今度は嬉しそうにはにかむ。

「百面相だね?」

今度は、ボクが笑う番。

「笑うなんてヒドいです…」

「ごめんごめん。」

「悪気は、無いんだ。」

「感情を素直に表に出せるキミが羨ましくって。」

「可愛いって思ったんだ。」

目をパチパチさせて、ボクを見つめる。

「あはは。何言ってるんだろうね。」

自分でも驚く。

本当に何言ってるんだか…。


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