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第11章 行き違い


「約束破りやがったな」
「破ってないしでしょう。大体約束してません」
「いいや。約束だった。男と男の約束だった」
「…馬鹿ですか?いや良かった。"約束"が守られなくて。何だか私、あなたと約束を守り合う仲になれたかどうか自信がない」
「それでも漢かー!」
「うるさい。何だ漢って。もう勘弁して下さいよ」
「本当ひでぇヤツだな、お前は。ずっと待ってたのに」
「仕方ないでしょう。大人げないこと言わないで下さい。私だって好きでこうなったんじゃない」
「うるさい。知るか。お前なんか嫌いだ」
「ちょ…それは駄目でしょ。何てことを言うんです。ボケちゃってんですか?」
「お陰様でボケることもなく80年」
「なら今さらボケないで下さいよ。しっかりしなさい、クソじじい」
「…お前は幾つになる?」
「ぼちぼち40の坂を越えますかねえ。やっとですよ」
「やっとはこっちの台詞だ!俺と母ちゃんがどれだけ待ってたか…!どれだけ…どれだけ…!んぐッふッ…!許さねえぞ、テメェ!」
「そう言われても…。私だって、本当に…」
「やかましい!男が言い訳するな!」
「好き勝手言ってますがね。待ちきれなかったアンタを許せませんよ、私は」
「ああ⁉」
「男の約束なら、どっち道私は守れない。約束事に男女の別を持ち出すなんて、しかもこんな場で。頭がかたすぎですよ」
「え?え?待て待て、つまり?」
「次は女なんです。会えて良かった、お父さん。いや、大じいちゃんか。今度は私が待ってますよ!約束、破らないで下さいよ!」

訃報
故 寺町 恭二 儀 (享年80歳)
10月21日 永眠いたしました
お通夜ならびに葬儀告別式は 下記の通り執り行います
一、通夜日時 10月24日 午後6時より
一、告別式  10月25日 午前10時より午前11時まで
一、場所   〇〇斎場(住所:〇〇市〇〇町1-2-3)
令和8年10月21日
喪主 寺町 笙子

出産のご報告
私事ではございますが 10.月21日に 2700グラムの元気な女の子が誕生いたしました
おかげさまで 母子ともに健やかに過ごしております
名は「恭花」と名付けました
これからは夫婦力を合わせて 大切に育ててまいりたいと存じます
今後とも 温かいご指導を賜りますよう よろしくお願い申し上げます
令和8年10月
賢人 莉笙

この小春日和の佳き節目。

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