第13章 YELLOW SULTAN
大きな床の間を背にし、昔ながらの大きな一枚板の黒い漆塗りの木のテーブルを挟み 茶に手を付けるこの家の主人(あるじ)。
俺達は、テーブルから拳1つ分を空け座っていた。
「何度言や、分かる。
俺は一切知らねぇ、知らねぇ事は話せねぇんだよ」
「まぁまぁ、そんな事言わずよく考えてみなさいよぉ〜」
同僚のボルサリーノは、強い眼差しを向けてくる男に軽い口調で返す。
同じ様な遣り取りが30分は、続いている。
仕事で訪れた場所だが、好き好んで長居はしたくない。
どう切り上げさせるか・・
あぁ、早く帰りてぇ。
面倒くさがりな俺はそればっかりを考えていた。
気配も無く、襖の外から声を掛けられた。
「オヤジ、今帰ったよい」
「おぉ、入れ」
襖を開け入ってきたのは、資料で見た顔。
組長エドワード・ニューゲートの右腕、1番隊隊長 マルコ。
「モビーの散歩、終わったよい」
「ご苦労」
「おやおや、1番隊隊長さんがお犬様の散歩ですか〜」
「グララ・・、平和な証拠だ」
矛先をマルコに変えたが、軽くエドワードに返される。
だが、マルコは機嫌に触ったのか鋭くこちらに視線を向ける。
「・・オヤジ、会わせたい犬が来てます」
「犬?」
「ペポです」
「ペポかっ!待ちくたびれたぞッ!
グララ・・悪いが野暮用だ、先に失礼する」
犬?ペポ?何かの隠語か?
と、微かに呟くボルサリーノ。
足早に退出しようとするエドワードに俺は、声をかけた。
「犬ですか・・
犬好きなんで俺も見て行っていいすか?」
一瞬、微かに眉を寄せたマルコ。
俺はそれに気付かないフリをしてエドワードを見つめる。
「グララ・・、犬好きなら来い。
珍しい犬種だから見て帰るのに損はない」
快く許可を出したエドワードにボルサリーノは、軽く舌打ちした。
一切顔色を変えないエドワードの姿に彼の当てが外れたようだ。
そんな様子に俺は1つ溜息を吐き、後を追い歩く。
妙に落ち着きの無いマルコが気になるがエドワードは、犬談義に花を咲かせたままだった。