第23章 3時のおやつは愛をこめて
大きめのボールに水をはり、氷を何個か浮かべその中で生クリーム入りのボウルを冷やす。
ひんやりと冷たいボールを手で押さえながら、カシャカシャ混ぜていく。
「私が持っててあげる!」
「ありがとう、とっても助かるよ」
氷と水のせいでツルツルと滑るボウルを、小さな手がおさえてくれた。それにしても生クリームを作るのって案外と大変だ。
本当はハンドミキサーを使ったら楽なんだけど、1から自分の手で作りたかったもんだから使わないことにした。
でも、流石にこんなに泡立てなきゃならないんだと思うと心が折れそうになる。
「頑張って!」
そうやってへこたれそうになると、可愛い声が僕を応援するものだから弱音が吐けない。
むしろ、腱鞘炎になるくらい掻き混ぜてやるなんて
ダメだ。
僕は鈴音ちゃんが絡むとどうもポンコツになってしまう。
「ねぇ、チョロちゃん?」
僕が生クリームと格闘しながら、どうしたのって聴くと答えずらい質問をしてくる。
「チョロちゃんは、いつからお菓子のお勉強してるの?」
あぁ、一番聞かれたくなかった質問だ。
こればっかりは流石の鈴音ちゃんでも答えたくない。
「ん、んーんーカシャカシャ言っててなにも聞こえないな!」
なんて言ってはぐらかしてみるけど、子どもってはぐらかせばはぐらかすほど聴いてくる。
「えー!嘘!絶対聴こえてるでしょ!教えて!」
手を止めること無く、カシャカシャと音を鳴らす。
別に悪いことじゃないし、隠すことでもないんだけど
でも
言いづらいことなんて、この世にあふれてると思わない?
でもそんな理屈、子どもになった鈴音ちゃんに伝わるわけじゃないし。
「教えて!私ぜっったい誰にも言わないから!ねっ?ねっ?」
なんて可愛くおねだりされてしまった日には、僕の心の城門なんてあっという間に撃沈されてしまう。
「本当、鈴音ちゃんにはかなわないや」