第20章 【切甘】重なる鼓動/孤爪研磨
「遥香ちゃんって結構目立つじゃん?俺ら三年の間でも結構有名だし。二年生にしてバスケ部の司令塔。可愛いし、明るくて元気だし、三年でも狙ってる奴結構いんだよ。」
黒尾さんに可愛いなんて言われ、思わず顔が赤くなった。そう言った黒尾さんだってバレー部の主将で背が高くてカッコいいし、二年の間でも人気がある。そんな彼にお世辞でも可愛いなんて言われれば、別に黒尾さんに気があるとかそういう訳じゃないけど、照れる。私の見た目が結構派手な方だってのは自分でも分かってる。俗に言うギャルと言われる部類だろうし。研磨の苦手そうなタイプだという自覚もある。それでも研磨は私と付き合ってくれている訳だから、嫌われてはないんだろうと思って、特に何か変わることはなかった。
「遥香ちゃんの隣に並んで恥ずかしくないように、っていう研磨なりの見栄って所かな。髪色染めたのは。まあ、そういうの研磨口にしないし、実際の所そうなのかどうかは分かんねーけどね。でも、研磨とガキの頃から一緒にいるし、研磨が言わなくても俺は分かるけどね。」
もし黒尾さんが言うように、本当にそうなのだとしたら、研磨が私と一緒にいる為に自分を変えようとしてくれた事は素直に嬉しい。でも、やっぱりこのタイミングでその話を切り出した黒尾さんの真意は分からないまま。
「遥香ちゃんが思ってる以上に研磨はちゃんと遥香ちゃんの事好きだよ。手のかかる奴だけだど、手を離さないでいてあげてね。」
そう言って黒尾さんは私を研磨のベッドに押し倒した。
「ちょ、黒尾さん何するんですか!?」
「しっ。ちょっと黙ってて。面白いモン見してあげるから。」
ニヤリとした笑みを浮かべる黒尾さん。押し倒されたからと言って特に何をされる訳でもなく、そして、面白いモンとは一体何なのか。なんて思ってたら黒尾さんとの距離が近付く。…ヤバい!キスされる…!そう思って私は黒尾さんを蹴飛ばそうと足を上げた。が、黒尾さんを蹴り飛ばす前に黒尾さんの体は私から離れた。
「クロ、何やってんの?」
「研磨…!」
私と黒尾さんを引き離したのは研磨だった。黒尾さんとキスをしなくてすんだのは良かった。が、この状況を研磨に見られたのはマズイ。仲直り所じゃなくなる。