第85章 アルバム
それから暫くお茶を飲んで雑談をした
手入れ部屋を見に行きたいといって、私は案内してもらった
燭台切光忠と札が掛けられている手入れ部屋の前に私は立ち尽くす
長谷部さんには申し訳ないけど、手入れ部屋の前に来た時1人にして欲しいとお願いした
そして襖に手をかける
襖を開くと布団に横たわって寝ている燭台切さんがいた
寝ている隣に座り、私は頭を撫でた
この人が、私の好きな人で、私のことを好きな人
「……んっ………」
頭を撫でていると燭台切さんが眉間に皺を寄せる
ヤバいと思って手を離した
しっかり整えられていた髪は戦場で乱れたのか乱雑だった
頬には傷があって布団がかけられてるけど、鎖骨が見えて生身の人間と何も変わらない
閉じられた目はまつ毛が長くて整っていた
ぼーっとしながら燭台切さんを見ていると、金色の目と目が合う
「………っかっこ悪いところ、見せちゃったね」
「……ぁっ、ごめんなさい、勝手に入ってしまって………」
「そうだね。勝手に男の居る部屋に入っちゃダメだよ……」
目の前に燭台切さんの顔があって気づいた時には唇と唇が触れていた
突然のことにびっくりしてバタバタと音を立てて離れる
さすがに怪我人を押し返すことは出来ない
「っ、し、燭台切さん、どうして、ですか……なんで、」
「………僕は、佳奈の記憶が無くなったことが許せない。どうして僕を置いていったの?君は、あの時した約束も何もかも全て忘れてしまった………なら僕も1度折れて新しい僕を迎えてあげて欲しいと思った。だから今回の出陣で、わざと重傷を負った。なのに君は怪我をしたら帰ってこいと言ったよね。だから折れることが出来なかった。あのまま進軍してくれれば、僕は折れることが出来た。なのにそれが出来なかった。僕は記憶の無い今の君が、嫌いだ。大嫌いなんだ。不愉快だから出て行って……今すぐ出てけ」
鋭い目付きで私はそんなことを言われて背筋が凍った
喉が詰まる感じがして、言葉が発せない
手が震えて、足も震える
だけど立ち上がって手入れ部屋からどうにかして出た