第13章 温泉旅行へ*1日目午後編*
風呂の後、外の風にでも当たりに行くつもりだった秀吉は、しかし誘い文句を飲み込んで、桜を部屋へと連れ込んだ。
湯上り美人を独占するくらい、許されてもいいだろう。
秀吉の下心を露とも知らず、桜は縁側に足を投げ出して、風に目を細める。ちらり、と後方で胡坐をかいている秀吉を伺う。その視線に目ざとく気付いて、
「どうした。何か言いたい事でもあるのか?」
「ぅえ!?」
尋ねてやった秀吉の方が驚くほどの動揺ぶり。
「えっと…」
風呂で熱めの湯に浸かりながら、政宗と光秀のことを考えていた。自分が果たしてどう思っていて、どうしたいのか。
のぼせる寸前まで考えて、結局答えを出せていない。自己嫌悪に近い感情を得ただけだった。
第三者に、話を聞くだけでもしてもられば、混乱した頭が少しはすっきりする。秀吉なら、的確なアドバイスもくれるだろう。でも、なかなか最初の一言が出てこない。
「当ててやろうか」
言葉を探して桜は、ぱちくりと目を瞬かせた。
「政宗と光秀の事だろ」
「何で分かるの!?」
私はそこまで分かりやすいのか。それとも秀吉さんがエスパーなのか。
「当たりか」
「…うん」
姿勢を正して、秀吉に向き直る。
「…2人とも、私のことを好きだと思ってくれてるみたいで」
「みたい?」
「光秀さんからは、はっきりとは聞いてないから」
なるほどな。行動で示されたというわけだ。
想像は、するまい。