第28章 11月21日*高尾*
「おい。人の家の前でいちゃつくのはその辺にしておくのだよ。」
「あら、真ちゃん覗き?やーらしー。」
そういえばしばらく緑間くんを放置してたの忘れてた。
「黙れ、馬鹿め。ほら、行くのだよ。練習に遅れる。」
そう言うと、緑間くんは自転車に跨がり、彼に出発を促した。
「え?今日真ちゃんチャリ?じゃんけんしてねぇよ?」
「お前の誕生日だろ。今日くらいはじゃんけんを免除してやるのだよ。」
「マジで!?俺リアカー初めてじゃん!」
リアカーに飛び乗り、何だか落ち着かない様子でそわそわしながらも喜ぶ彼。
実はこれも私からのプレゼント。
「それでは人事を尽くしたことにならない」って言う緑間くんに頼んで頼んで頼み込んだ甲斐があった。
「二人とも行ってらっしゃい!私一回帰るから、また後でね!」
学校に向かう二人に手を振って見送ったのに、彼がリアカーから降りて私のところへ走ってくる。
「どうし…」
言葉を言い切る前にもう一度強く抱き締められて、今度は唇にキスをされた。
「ちゃん充電完了!…ありがとな。」
「うん…。和成、行ってらっしゃい!頑張ってね!」
笑顔で大きく手を振る彼を見ると、素敵な誕生日のスタートはちゃんとプレゼント出来たみたい。
まだ彼の誕生日は始まったばかり。
今日一日を最高の日にするから!