第26章 帰郷
流石に学校付近でするのは拙いと考えた結果、カエデちゃんと殺せんせーの以前戦っていたススキ野原のあった場所へと移動した。
既に始解した状態の捩摺を握りしめて立ち、意味をなさなくなるであろう壁を張ることもせずに、ギャラリーの警護は喜助さん達に任せて存分に戦う準備を整わせる。
少し供給が進んだとはいえ、残りの霊力も大したことのない量だ。
この世界においては霊子が存在しない上、恐らく私の要望に反対しているであろう喜助さんの助力は望めない…望むつもりもない。
下手に鬼道を何度も撃つよりは、いくつかに絞って威力のあるものを選んだ方が賢明だ。
それに普通の鬼道が、あの人の能力にどこまで対抗出来るかは分からない。
「…姫、お前いいのか?理由を話してみりゃあいつだって話し合いにしてくれるかもしれないじゃねえか」
『私の選んだ人がそんなに融通の利く相手だと思う?どの道無理よ』
捩摺には私の感情など手に取るようにバレてしまうため、何も言わなくとも彼は引き下がってくれる。
反対していたとしても、私が感情というものにどれだけ苦しめられてきたのかも知っているから。
「勝負の合図は先生が出します。それでは、いきま「いらねぇよ!!!」え、…なっ!!!!?」
『…ッ!!』
突然目の前に現れる中也の脚を咄嗟に避け、能力で距離を取る。
それから続けて繰り出される攻撃を躱して、捌いて、また躱して。
最初から容赦のない攻撃に早くも決着をつけたくはなるが、急いではいけない。
焦ったところでスタミナはあっちの方が上…私じゃあの脳筋馬鹿にはかないっこない。
「な、なぁ…中也さんて、あんな強かったのか…?」
「今まで見てきた中でもあんな容赦ないの初めて見るっていうか…」
「…恐らく、蝶さんレベルが相手でなければあそこまで避ける人がまずいないんだろう。あれで攻撃力がどれ程のものなのかも気になるが…!!?」
『ッ、あ゛…っ』
いやらしいところで使われる異能力。
地面に叩きつけられ、そこを狙ってかかと落としをしようとする中也…見えた訳ではなくほとんど咄嗟の勘だ、私ならそうする。
急いで中也の真上に瞬間移動すれば、そのまま彼を踏むような姿勢になる。
しかし途端に能力を解除され、軽くなった体を瞬歩で移動させてまた距離を取った。
「賢明だな、あのまま掴んでやってもよかったのによ…こっからだぜ」
