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【刀剣乱舞】守護者の恋

第1章 守護者の日常


「悪くないかも」
すべての指に少しずつ違うラインアートを描き終えると、加州はその手を宙にかざしてまじまじと見た。
「少しずつ爪が生えてきて、縦のラインの下側が切れるのが少し目立つと思いますが、一週間ぐらいしたらまた塗りなおしましょう。その間、根元にわたしがやったようにオイルを垂らして軽くすりこんでください」
「もらっていいの?これ」
「はい」
「どれぐらいで綺麗になるのかなーあ」
「半分まで伸びれば、今度は綺麗な部分に濃い色、上の部分を薄い色、みたいに塗ってみましょう。ひとつきもすればだいぶ伸びると思います」
「我慢しなきゃダメ?」
「……さあ、どうでしょう」
それは、加州次第だ。
束穂がそこで軽く突き放すように言うと、加州は軽くふくれっ面を見せて
「わかったよ。束穂が折角やってくれたんだったら、俺も綺麗な爪に戻るまで待つよ」
「ありがとうございます」
「変なの。お礼言うの俺の方なのに。ありがと」
はにかんだ笑みを見せて、加州は持ってきた自分のアイテムを巾着袋にがちゃがちゃと粗雑に戻した。照れ隠しなのだろうか、と束穂は思ったが口にはしない。
「それにしてもさ」
「はい?」
「束穂も女の人なんだな、やっぱり。こんなこと出来るなんて。ちゃんとおしゃれなこととか知ってるんじゃないの」
「いえ、いえ、爪はたまたまです。あとはその、お化粧とかは全然……」
矛先が自分の方へ向いて、慌てる束穂。
「そう?じゃ、いつかさあ、その頭巾とったら、俺がちょっとお化粧教えてあげるよ」
「加州さんが?」
「そ。次郎太刀みたいにケバくなりすぎてもいいなら次郎太刀に教えてもらえばいーけど」
「次郎さんはケバいんじゃなくて、もとのお顔が彫り深なんですよね」
「はあー、何その優等生の回答。シラけるんだけど」
そう言いながらも加州は嫌そうな顔ではない、と束穂は思う。
「やっぱ、あれ撤回する」
「撤回?」
「そ。ここに来るの内緒にするっていう」
「どうしてですか?」
「安定あたりが絶対この爪のこと聞いてくるからさ、そしたら束穂にやってもらったんだって言いたいじゃん」
そう言うと束穂の返事を待たずに「おじゃましましたーー」と少しおどけたように加州は部屋から出て、離れの玄関にさっさと向かうのだった。
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