第36章 ・義兄遠征中の話 その2
「15の娘だ。」
あれだけ溺愛している癖に他に言うことはないのか。もちろん聞き手達は詳細を聞きたがるが程なく休憩時間が終わった為その話は後になった。
何も知らない文緒はその日の部活帰りに文芸部仲間と寄り道をしてクレープを食していた。
「おいしい。」
義兄とはうってかわってこちらは呑気なものである。嬉しそうに食する文緒に文芸部の連中はクスクス笑う。
「私何か変だった。」
友に聞いてみれば友は首を横に振り、あまりにも嬉しそうにしてるのが何か可愛かったと言う。文緒はよくわからないとその義兄のように首を傾げるがすぐ気を取り直した。
「こういうの初めてだから余計かな。」
文緒は呟き食し続けるが、
「あの、」
スマホを構えている友に突っ込んだ。
「何で写真撮ってるの。」
友はしれっと何やら答えるが文緒は更に突っ込む羽目になる。
「萌えコレクションに加えるって何私萌え系じゃないよ他へ流さなくていいから特に五色君が見たら絶対笑う、瀬見さん巻き込むのもやめてあげてただでさえ兄様が私の事で巻き込んじゃって大変なんだから。」
文緒にしては頑張ったものの効果はなかった。友は撮った写真を早速加工し文芸部の部員達に共有しにかかる。受け取った部員達は盛り上がるときた。更に部長がニヤニヤして言った、旦那に送っといたと。
「何て事っ。」
文緒は飛び上がらんばかりに驚く。
「何故部長が兄様の連絡先を、というかどうして送られたんですっ。」
部長曰く、文緒のことを頼むと言われた時に念の為と連絡先を交換したらしいのだが文緒からすれば悪用されたようなものだ。
「何も送られる事はないでしょうに。」
恥ずかしくてぷぅと膨れる文緒に部長はさらりと嫁の無事を報告しただけだとのたまう。
「もう本当に皆さん悪ノリが過ぎます。」
文緒は言ってクレープをもう一口かじるがその瞬間には顔がほころんでいるものだからやはり文句を言った効果はなく文芸部部員達も微笑み合っていた。