第15章 Ⓡ◆Boy meets Boy!(神田)
(ええー…)
呼び止めようと中途半端に伸ばした手をそのままに、おずおずと隣へ目を向ける。
余所を向いているとばかり思っていた切れ目はこちらを向いていて、手持ち無沙汰に行き場を失った手を雪は差し出した。
「お、かえり」
「…ああ」
ぎこちなくなってしまった声に、それでも返答はあった。
差し出した手に、意外にも長い指が重なった。
(なんだろう…教団内で手を繋いで歩くなんて、したことあったっけ…?)
緩くだが繋がれた手と手。
慣れないことへの緊張か些か足が速くなる雪の歩幅に、ゆっくりとついて行く神田はまるで手を引かれているかのようだ。
リナリーの言う通り、まるで体の大きな子供のようで、雪はちらりと高い身長を見上げた。
(なんか、可愛い、かも)
沈黙はあるが、重くはない。
神田から殺伐とした空気は感じられず、雪は自然と笑みを浮かべていた。
「ねぇユウ」
「?」
「任務、どうだった?イノセ」
「あ?」
「いえ(まさかの地雷!)」
しかし居心地良く感じた空気も束の間。
何気ない会話の切り口に選んだ雪の問いは、どうやら地雷であったらしい。
忽ちに神田の眉間に寄る皺に、雪の声も萎む。
「…イノセンスは見つからなかった。情報は全部ガセだ」
そんな雪の身を退く気配を感じ取ったのか、幾分声を抑えた神田が深い溜息をつく。
「そう、なんだ…でもよくあることだよ」
「だからって五日も聞き込みと身辺調査なんて、時間の無駄使いにも程があんだろ。要領悪ィんだよ、あの糸目」
「糸目って、マオサさん?」
今回の任務は、ファインダーであるマオサを道先案内人として、エクソシストは神田とリナリーの二人が就いていた。
その面子で思い当たるのは、いつも瞑っているような細目のファインダーの彼だ。