第12章 ⓇMerry christmasの前にⅡ【アレン】
気付けば吐く息が掛かる程に近い距離に、アレンくんの顔があった。
澄んだ銀灰色の目は一瞬で呑み込まれるような気がして、反射的に目を瞑った。
と、唇に触れる柔らかい温度。
そうっと触れる、アレンくんの体温。
彼らしいとても優しいキス。
やがて離れる気配に瞑った瞳を開けば、くすりと笑われた。
「ごめん、吃驚させた?」
「…少し。でも…」
「嫌じゃない?」
「…うん」
「よかった」
本当に嬉しそうに微笑むアレンくんを前にすれば、嫌だなんて思えない。
それに私のことをちゃんと気遣ってくれているのが、わかるから。
手を繋いだり、肩を寄せ合ったり、抱きしめたり、キスを交わしたり。
そういうことを、アレンくんはいつも優しくリードしてくれる。
だからドキドキする想いも勿論あるけれど、自然とアレンくんに触れられるのは安心できた。
…初めてアレンくんの部屋にお泊りした時は、流石に緊張したけど。
その緊張が伝わったのか、アレンくんはなんでもないことのように変わらず接してくれていた。
お陰で昨夜みたいに、アレンくんの体温に包まれて眠ることもできるようになったけど………私達の関係性はそこまで。
まだ、それ以上アレンくんが私の体に目的を持って触れてきたことはない。
私との距離を大切にしてくれているのはわかっていたから、時間が掛かっても不安は然程なかった。
愛の言葉もくれるし、キスだって沢山してくれる。
そこにきちんとアレンくんの想いが見えていたから。
…だから驚いたんだけど。
まさかあんなことを言われるなんて。
どんなに紳士なアレンくんでも、やっぱり男の子だから。
………したい、よね…そういうこと。
「椛? 顔、赤い」
「っ…ちょっと、寒くて」
いつも優しくて可愛いところも沢山あるアレンくんの"そういう所"、なんだか想像できなくて。
…想像しようとしたら頭がヒートしてしまった。
咄嗟の言い訳が自分でもわざとらしい。
「じゃあ、そろそろ帰る?」
催促するように、そっと手を握られる。
ドキリとした。
だって、帰ったら。
ジェリーさんの特性クリスマスフルコースを食べて、お風呂に入って、それから──
「……うん」
顔、益々赤くなってない、かな。