第5章 日常②。
お目当てのスポーツ用品店に着いた私たちは、店内をいろいろ見て回っていた。
『そうだ、サポーター買ってきてほしいって武田先生が言ってたんだ』
「いつも使ってるのならこれだ」
『じゃあ予備で二つ…三つかな』
影山くんが指差した商品を、三つまとめて取ってカゴに入れる。
「で、日向には何をあげるんだ?」
『それが問題なの。影山くんだったら何を貰ったら嬉しい?』
(シューズ…いや高いか。Tシャツ、も好みが別れるしな…なら…)
影山くんは少し考える素振りをした後、思いついたように言った。
「スポーツタオルとかはどうだ?」
『それ、いいかも。今なら吸水性がいい物とかあるし、デザインも豊富だもんね』
私は影山くんと話しながらタオルが置いてある棚を探した。
『どれにしよう…』
棚は程なくして見つかったのだが、問題はその量。同じタオルでも各社から様々なデザインや性能の物があり、一言でタオルと言っても全然違うのだ。
「こんなのどうだ?」
『それはちょっと…』
影山くんの手には青い布に"セッター魂"と墨で黒々と書かれたタオル。それってセッター限定じゃないの?しかも、そんなのどこから見つけてきたの?
「なら、これは?」
『それもちょっと…』
影山くんの手には赤い布に"三点倒立"とでかでかと書かれたタオル。にしても、どこかで見たことある気が…
『西谷先輩のTシャツじゃん!』
「よく知ってるな」
そりゃあ、毎日のように四字熟語っぽい言葉が書かれたTシャツ着てるからね。
「だったら…これは?」
『あ、それいい!』
影山くんが選んだのは、白地にオレンジ色でロゴが入っている物。どこがいいって、タオルの端の方に小さく鳥のシルエットがあるから。黒いその姿は一羽の烏のようにも見えた。
吸水性と速乾性に優れます!と書かれているだけあって少々値は張るが、せっかくの誕生日なのだからいいものをプレゼントしたい。
『影山くん、これにするね』
「おう」
私はレジに行ってお会計を済ませ、影山くんとお店を後にした。