My important place【D.Gray-man】
第30章 想いふたつ
暗く深い地下の底──
目覚めた其処は
黒の教団"アジア第六研究所"と呼ばれていた
悪性兵器〝AKUMA〟
〝千年伯爵〟
〝エクソシスト〟
〝イノセンス〟
生まれた理由も
生きる理由も
全てが用意された 御戸代(みとしろ)の世界だった
「ユウ、見てごらん」
「この穴、全部が…?」
「そう。君と同じ使徒が眠ってる」
吐き出す息が白く映る、寒くて冷たい地下の大広間。
"胎中室"と呼ばれるその部屋の床には、幾つも空いた穴がある。
その穴の液体の中に沈んでいるのは"俺"と同じ存在。
"第二使徒"なんて呼ばれてるガキ共だった。
「あんた達人間も、穴から生まれるのか?」
俺達"第二使徒"はこうしてこの穴から生まれてくるらしい。
そう隣に立つこの金髪の男が教えてくれた。
"エドガー博士"と呼ばれているこの男は"人間"。
俺とは違う生き物だ。
「いいや。人間はお母さんのお腹から生まれてくる」
「おかあさん? なんだそれ、どこにあんだ?」
「そうだなぁ~…トゥイ支部長はさ、お母さんなんだぞ」
低い俺の背丈に合わせて、屈んで同じ目線でにっこりとエドガー博士が笑う。
いつもヘラヘラ笑ってる顔はよく見るが、その口から"トゥイ支部長"の名前が出る時はその笑顔は違って見えた。
どこか温かい、優しい笑顔。
「……」
「ん? どうした、ユウ。そんな驚いた顔して」
「………あんた、支部長から生まれたのか…」
「えぇっ!? 違うよごめん! 支部長が生んだのは私の子供でっ、私はお父さん!」
なんだ、違うのか。
「おと…? それは何する奴だ?」
「え。…っと、つまりそれは…えぇっと…人間はだね、男と女が愛し合うことで生まれてくるんだ」
「……」
あいしあう?
…って、なんだ?
生まれ出た世界は
俺には知らないことだらけだった
俺は知らないことが沢山あるのに
周りの人間は俺より俺のことを知っていて
俺の前に、生きる道を敷いていた
俺に他の道を"選ぶ"という意志さえ浮かばせない程
それは当たり前に、決められた道だった