My important place【D.Gray-man】
第47章 リヴァプールの婦人
「で?結局その赤毛の男は取り逃がしたと?」
「…ごめんなさい」
「ちょっとリンク、そんな嫌味な言い方止めて下さいよ。リナリー、気にしないで」
「アレン君…」
「遅くまで捜し回ったんでしょう?それで見つからなかったのなら、仕方ないですよ」
「でもアレン君達は、ちゃんと任務を終わらせたのに…足、引っ張っちゃったね」
「そんなことない。リナリーはイノセンスを一から探さなきゃいけないんだから、時間も掛かります」
日付も変わる夜更け。
成果を手にできず宿へと帰ってきたリナリー達を迎えたのは、任務であるAKUMA討伐を終えたアレン達だった。
「AKUMA達は一箇所に集っていたので、救済も楽でしたし」
「へぇ?じゃあなんでそんなに傷だらけなんでしょうねぇ、貴方達」
優しい笑顔をリナリーへと向けるアレンに、突き刺さったのはトクサの指摘。
その言葉にアレンの笑顔も固まってしまう。
固まった彼の頬には大きなガーゼ、他にもあちこち手当ての跡が残る。
それはアレンだけでなく神田も同様だった。
しかし傷が多いのは二人だけで、リンクは言わずもがな、クロウリーとテワクにも然程傷は見受けられない。
「どうせまた二人で喧嘩でもしたんでしょう?任務中に。本当に仲が良いことで」
「み、耳が痛い…」
「…喧嘩したんだ」
「ち、違いますリナリー!これはAKUMAとの戦闘で受けた怪我で…!ねっ神田!」
「………」
「黙らないで下さいよ勘違いされるでしょ!」
「事実だから仕方ないでしょう、AKUMAより暴れてどうするんですか」
「リンク!」
「…したんだ喧嘩」
「り、リナリ…違…!」
顔を真っ青に動揺するアレンとは相反し、仏頂面を抱えた神田は一切反応を示さなかった。
アレンと殴った蹴ったのやり取りでもしたのだろうか、包帯の巻かれた拳で腕組みをしたまま、壁に背を預け他所を向く。
否、その視線は非ぬ方角ではなく一点に向いていた。
部屋の隅で一人。
椅子に足を上げて深く腰掛けたまま、掌で小さなロケットのような物を転がしている雪だった。
目の前の騒動には心在らずの瞳が、じっと掌の中に向いている。
(不思議なお爺さんだったなぁ…)
当人と同様、見覚えのない不思議な小物。
これは何かと、ファインダーなら誰しもが持つ探究心が向く。