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My important place【D.Gray-man】

第47章 リヴァプールの婦人



(んん?)



何処にだっている赤毛だ。
しかしラビの赤毛とは多少異なる、太陽のような燃える赤毛。
それは何処かで見覚えのある赤だった。



「………」

「雪?」



自然と雪の足は次の間へと向いていた。
リナリーに呼び止められるが止まる気配はない。
腕の中で身を乗り出す猫と同様、食い入るように男の背を見つめる。

掃除をしているのか、作品の点検をしているのか。
明かりの付いていない芸術の間で、男は視線をあちこち巡らせ辺りを見回っている。
まるで何かを探しているかのように。



「あの、」



背後に立てば、高い身長だとわかる。
ラビと比べると少しばかり背は足りないが、がっしりとした体付き。
呼べば、燕尾服の男はぴくりと肩を震わせ動きを止めた。

しかし沈黙は一瞬だけ。
すぐにくるりと振り返り、当たり障り無く笑顔を向けてくる。



「なん───ワオ」



否。
にっこりと浮かべた笑顔のままに男は声を上げた。
男と言うよりも、青年と呼べる若々しさを持つ風貌で。



(ワオ言った)

(おっと)

(ハイ決定)



笑顔で固まる青年を前に、リナリーとトクサと雪の心境が合致する。



「一日に二度も会えるなんてね」

「…へ?」



愛嬌あるそばかすに、緑色を帯びた瞳。
まだ僅かに幼さの残る顔に笑いかけると、雪はしかと青年の手首を握り締めた。



「蛙のご主人様」



見間違いなどするはずがない。
目の前の青年は、昼間に出会ったあの泥蛙の主人だった。



「蛙のご主人?…なんのこと?」

「ハイしらばっくれない!それとも何、此処で会ったらまずいことでも?」



彼は胡散臭い奴だと神田が眉を潜めていた人物。
他人に興味のない性格だが、神田の洞察力の高さは確かだ。
何より出会い頭の態度が怪しさ満載。
手首を握る手に力を込めれば、青年は戯けるように首を傾げた。



「うーん?身に覚えないんだけど」



どうやら本気でしらばくれる気らしい。

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