My important place【D.Gray-man】
第42章 因果律
『閉鎖!? そんな…なんとかならないんですか…っ?』
孤児院の危機を知ったのは、偶然聞いたエミリアの声からだった。
隠れてこっそり覗き込んだ院長室。
そこにいたのは、エミリアとパメラと院長先生。
『もう大分前から無理だったんです。なのにどんどん孤児を受け入れて…もう諦めて下さい、院長』
『……』
厳しい声で責めるパメラに、院長先生はなにも答えなかった。
答えていなかったけど…静かに窓の外を見る顔は……今まで一度も見たことのない顔をしていた。
いつもいつも、オレやチビ達の前では優しく笑っていた。
そんな院長先生の、初めて見た知らない顔。
唇を噛んで。強く目を瞑って。
何も吐き出さずに耐えるように。
そんな院長先生の顔を見た時、オレは言葉を失った。
──このハースト孤児院に来て2年。
オレは自分の目覚めた能力に気付いていた。
ここの暮らしは面倒なことも多いけど、思ったより楽しくて。
だから能力はずっと隠してたし、使う気もなかった。
でも院長先生のあの顔を見た時、この能力はオレの武器だと思ったんだ。
〝怪盗G〟
これは孤児院を救う為だ、悪いことをするんじゃない。
こうしなきゃ弱いオレ達は幸せになれないから。
良いことに使ってるんだ。
…なのに。なんでこうなるんだよ。
なにも悪いことなんてしてないだろ。
オレの能力は良いことに使ってた。
院長先生やエミリアを笑顔にしたくて。
チビ達や皆と、この場所にずっといたかったから。
だから勝手に植え付けられたこの能力を、使っていただけなのに。
いきなりこの玉がイノセンスだとか、訳のわからないことを言われて。
いきなりオレの居場所を滅茶苦茶にされて。
なんなんだよお前ら。
助けるだなんて、勝手なこと言ってんな。
オレの気持ちなんてわかるもんか…ッ
『僕は最低だと思うよ。君の所為でGにされた人達のこれからの人生、滅茶苦茶になるんだ』
「……ぁ」
『君、最ッ低だよ』
唐突に思い出したのは、あの白髪のあんちゃんの言葉だった。
今のオレと同じ。
滅茶苦茶にしたんだって言葉で、オレを責めていた。