第23章 無自覚の誘惑
[涼太]
すごい。
本当に、美空っちは天然なんスね。
俺は今まで、真面目で優しい美空っちしか知らなくて。
こんな聞く人が聞けば、誘惑してるとしか思えない言葉を、平気で言える美空っちに、驚きと同時に少し心配になる。
「…美空っち。美空っちの家って、俺以外入ったことある?」
「ん?んーーー…、杏奈ぐらいかな。」
「そうっスか。なら、良かったっス。」
「?何が、良かった??」
俺はほっとして、胸を撫で下ろす。
でも、俺の言ってる意味が、多分通じてなくて、美空っちは眉をしかめている。
きっと、頭の中は“?”で一杯なんだろう。
美空っちの家の最寄り駅に着いて改札を抜ける。
途中、俺の足に巻くテーピングを買うと言って、美空っちはドラックストアに立ち寄った。
俺も、美空っちの目を盗んで、アレを購入して鞄の中に入れた。