第8章 演練
「どうせ……これからあの汚物達は、演練に参加する。そこで絶望でも見せようか、互いに。」
青年に背を向けた橘高は、口角を気持ち悪いと思う位に、ニヤリと上げる。背の向こう側にいる聖職者が着そうな服を着た青年は一瞬、目を見開くが目を伏せた。
予鈴の鐘が鳴り響く。
★★★
五、六時間目が終わり、終礼も終わって後は帰るだけになった。
結局、加州は来なかった。授業と授業の間の休み時間に探しに行こうかと考えたけど、そういう時に限って休み時間を潰してまで授業を続ける。
ほんと、そういうの止めて欲しいよね……。
「じゃあね、天音!!」
「あれ?あ、うん。またね!」
いつもはマイペースに帰る仕度をしているウチだが、加州を探すために早く済ませた。
もしかしたら、本丸に戻っているのかもしれない。アイツはそういう奴だと最近、分かり始めた。
教科書が大量に入ったリュックを背負って、教室を出た。
取り敢えずは、見て回ろう。窓から外を見ながら。そうしながら見て回るが、一向にそれらしき姿が見当たらない。
何度か他の本丸のアイツを見かけたり、横を通ったりしてるけど……。
「あの刀はどこにいんだよ!」
見つからなさ過ぎて、イライラが募っていく。これ以上は校舎の中で探す場所は無くなる程、探した。でも、見つからない。
諦めて、外を見て回る事にした。
「加州!!」
名前を呼んでみる。反応なんて帰ってこなさそうだけど。
あらゆる校舎の外を見て回って、ついに初めて学校に来た時にウチが来た場所に着いた。
あの時は満開で、綺麗なピンク色で埋め尽くされていた桜の木が、今は緑に染まっている。
桜……散ったんだ。あの桜、綺麗だったな。物思いに更けていると、何処からか足音が聞こえた。
「やっと来た。」
足音がする方向に体を向けると、ウチが今探していた刃物が平然と立っていた。
「加州!!」
「遅い。」
「はあ?遅いって……。」
トイレって言っといて、その後から姿を晦ましていた奴が何を言う!
自己中というか傲慢というか、理不尽で意味が解らない事を言われて、眉間に皺を寄せた。
「まだ、お前の同行し始めて日が浅いから、お前みたいにスイスイ建物の中が分かる訳ないし。お前に聞こうとしても、お前はインカム持って来てないし。」
「インカムの事は、ごめん……なさい。」