第4章 その娘、武人にて迷宮に挑む
扉を潜り中に進むと、そこにあったのは果てしなく続く苔の生えた廊下だった。
廊下と言うだけあって、床も壁もある程度は整備されている。
てっきり宝物庫だと思っていたのだが、如何やら違った様だ。
かれこれ一時間くらいは真っ直ぐに続くこの道を歩き続けているのだが、代わり映えのしない景色は戻っても進んでもずっと同じ光景が広がっていた。
入って来た筈の扉も消えてしまっている。
見えているのは凄く幅の広い石造りの廊下。
それを覆う様にして生えている青々とした苔。
見たことの無い色をしたキノコ。
無駄に揺れる大きな花。
変な声で笑う虫。
最早気味が悪いを通り越して面白くなってきた。
時折床や壁から食人植物(らしきもの)が出てきて戦闘になるが、蔓の部分を切るとあっさり倒せてしまい実質害は無かった。
此処は何の為の空間なのか。
どんな行動を求められているのか。
それが分からない以上、この先進展は望めない。
「矢張り同じ所をぐるぐる廻っているようですね。」
床を見た紅明がそう呟いた。
視線の先を辿ると、そこには手頃な大きさの白い石が落ちている。
如何やら目印として落としていたらしい。
「…道理で同じ景色ばかりな訳ですね。」
そう呟くと、莉蘭は気付かれない様にため息を吐いた。
詰まる所、一向に進んでいないということ。
莉蘭も薄々感づいてはいたが、実感すると一気に疲れが出てしまった。
それは皆も同じ様で、紅覇なんかは退屈だというのが表情から滲み出ている。