第2章 新しい景色達
「どけ」
「!?」
どこからともなく現れた謎の力によって私は横にドンと突き飛ばされる。
「あ・・・え!?七瀬君!?」
「・・・お前、これ何したんだ」
「え?何が?」
「皿」
よくよく見るとさっきまで私が立っていたポジションに彼がいて、落とした皿を手にとって見ていた。
「えっと・・・熱湯でやろうとして火傷して、アクリルたわしでやったら少し落ちたけどぬるぬるとれなくて、慌てて洗剤・・・」
そう言うと、彼が呆れたようにため息を短くつく。
そうして冷水に切り替えてすぐに持っていた皿をさっと洗った。
すると近くの棚からプラスチックの桶のようなものとって、お湯にまた戻す。このキッチンは古いのか、少しばかりお湯になるのに時間がかかる。彼は流しっぱなしにしてお湯が出るのを待っていた。
「・・・借りを返す」
「はぇ?」
お湯を少し触り温度を確かめる。するとさっきの桶にお湯を入れ始めた。
「何を」
「・・・」
こちらも見ずにお湯が入るのを待っている。
それがある程度まで入ると
「油汚れの皿、他には」
と私に聞いてきた。
私は流しを覗き込み、真っ赤になった指先でそれを教える。彼はさされた食器をさっさとその桶に沈めていく。
入れたものを流しの中に入れると、冷水で自分の手を洗ってかけてあるタオルで拭いた。
「5分から10分くらい経ったら、お湯を出してキッチンペーパーで油をふけ。洗剤は使うな。その後に綺麗なスポンジで軽く水洗いしろ」
「え・・・」
唖然としていると、彼が私がブラつかせている手を一瞬だけ見る。
「あれを使え」
と言って洗った食器置き場にあるゴム手袋を指差した。
「え!?あ、ありが」
「これから皿を洗うのに洗剤は使いすぎるな。しつこい油汚れの時はこうしろ。洗剤は少しスポンジにつけとけばいい」
そして、お礼も言わさずに早々と踵を返してキッチンを後にした。
・・・・・・・・・・・(唖然)
え?今・・・・何が起きた?え?
えっと・・・え?ん?
借りを・・・返す?は?
あの人何か借りてたっけ?むしろ私借りたジャージ破いて返したりと恩を仇で返しまくってた気が・・・。